そうか。
 おれにはお前が刀にしか見えないけれど。
 お前はおれを人間と言ってくれるのか――


 今回も堪能。
「日和号」と鑢七花を対比して、七花の「人間らしさ」を浮き彫りにする辺り、絶対にやるよなぁ、と思っていても、グッと来た。とがめと刀蒐集の旅を始め、どんどん人間らしくなっていった七花が、錆白兵までの対戦者に思いを馳せたりしたのが印象的。いやまあ、そんなことよりも――


 否定姫がめちゃくちゃ良い! 惚れた!
 前々巻「双刀・鎚」の感想で、否定姫は「否定」することによって、七花の人間として生き方を(結果として)「肯定」する、後押しする、と書いたけれど(厳密にはそこまで書いていない)、すでに似たようなことを左右田右衛門左衛門に行っていたのが、ひたすら熱かった。

 真庭忍軍に滅ぼされた相生忍軍最後の生き残りとして、野心を持たず、復讐も考えず、ただ死んでいるように生きていくだけという、左右田右衛門左衛門の生き方を、

「否定するわよ」

 から続く、畳みかけるような「否定」の嵐で、「否定」しつくし、最後には、

「使ってあげなくも――ないのよ」

 と、右衛門左衛門の生き方を「完全否定」した上で、新しい生き方を掲示する「二重否定」。あー、もうっ! 痺れた!

 その他にも、
 一見何の意味もないような頭の後ろで手を組んで、とがめを睨み込むシーンとか(その大いなる効果は、後のイラストで堪能せよ! このカットは、素敵すぎて何度も見ちゃいます(笑)。竹さんのイラストは今回本当に素敵でしたね……「日和号」もよかった)。
「太陽電池なんて概念がないこの時代に」という意味深な発言とか。
 ちょっと豆腐でも買ってきてよ、という勢いで、左右田右衛門左衛門に真庭鳳凰の暗殺を命じたりとか。

 そんなこんなで、今回、否定姫の「ファン」になってしまいました。左右田右衛門左衛門がちょっと羨ましいぞ……(笑)。



 これからは、否定姫が登場しただけで、何かが高ぶるなぁ、と確信しつつ、今回もやっぱり、七花ととがめのイチャイチャぶりが堂に入っていて、面白かったですね。

「とりあえずはそのまま、わたしのことを抱きしめているがよい」とか、もうどこまでもイチャイチャしてください、とお願いしたくなりましたよ。

 彼らは一体どこへ行くのだろう……? とちょっと遠い目で見守ることにします。



「せいぜい、次の歴史ではうまくやることだ」や上述の「太陽電池なんて概念がないこの時代に」など意味深な発言が乱舞した今巻「微刀・釵」でしたが、今の所、それらを合理的に解決するアイデアは思いつきません(誰もが考えそうなことならいくつかあるけれど)。

 ただ、真庭蝙蝠、宇練銀閣、敦賀迷彩、錆白兵の無念を果たすためなら、歴史の繰り返しは(心情的に)アリ。



 ところで、「相生忍軍」って今回初めて登場したワードですか? 聞き覚えがあるような気がするんですが、気のせいかなぁ。



 そうそう、前巻「悪刀・鐚」の感想はあえて飛ばしてみました。「7」番目の本だったし。来年も多分大河ノベル(島田荘司さんらしいですね)の感想を書くかと思いますが、「7」番目は抜きます。だって、「7」は「××」な数字だから。

西尾維新/刀語/第六話「双刀・鎚」/感想
西尾維新/刀語/第五話「賊刀・鎧」/感想
西尾維新/刀語/第四話「薄刀・針」/感想
西尾維新/刀語/第三話「千刀・ツルギ」/感想
西尾維新/刀語/第二話「斬刀・鈍」/感想
西尾維新/刀語/第一話「絶刀・鉋」/感想




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